相手の矜持を慮る

日常の中で感じた悩みと行動

悩み:社内交渉の技術
行動:ミクロの議論に誘い込み、小さな勝ちを譲り、マクロの勝ちを得る
解説:

「金の取り合い意識を向けさせ、王将をとる。でも実は、自分が将棋で勝てたこと自体が、相手の作戦の一部かもね」

自分が達成したい狙いがあり、それには相手の協力が必要な時があります。
その際に、ミクロの議論に誘い込み、マクロの合意を得る手法があります。

自分が上司から、組織再編のプロジェクトを任命されるとします。
会社全体の組織を現在の運用に合わせた形へ最適化し、無理と無駄のない形への組織再編です。
まず組織構想のアイデアを詰めて、各部署の長となる人に合意をとりにいくとします。
組織の長は基本やりたくない。ものと仮定します。

まず候補者となるAさんと接触します。
話すべき内容は、組織再編のための長を引き受けて欲しい。という依頼ではなく、
誰でもできる組織運営プランに関する議論の希望です。

候補者になる人には、例えば組織を率いていくとしたらどういう方法がいいか。
「Aさんが」ではなく、Aさんの後輩Bさんでも誰でもできる組織運営プランを一緒に考えて欲しいと依頼します。
自分が提案する内容と、候補者Aさんのプランをぶつけ合います。

結論その議論では、120%相手が出してきたアイデアを採用します。自分の意見はあくまでドラフト。相手に喋らせるのです。
イメージとして、自分が渡す提案は薄い透かしが入っている程度。直筆で一筆一筆意見を書き込んでいくのは相手です。

候補者Aさんは、自分が依頼されて然るべきだと思っていた、しかし、そうではないことに苛立ちと不安、安堵、嫉妬を覚えます。(1:2:3:4くらいかなと思います。)
偶像を用いて議論をすることで、よりハードル低く自分のイメージを明らかにすることができます。
また、自分がやるわけではないと考えるので、より多くの意見で堅牢なプランが出来上がります。(ほぼ9割の人が自分がやると考えないのです。何故でしょうね。)
完成したプランに対して、誰がやるかを明言はしていけません。

そこで、Aさんにこう依頼します。
このプランは、誰でもできるプランになっていますが、Aさん自身がやることも含めて、誰がやるかはAさんが決めていただけますか?
Bさんができれば世代が繋がります。Aさんが行えばより甘いポイントが見つけ出せると思います。
いずれにせよ、私も可能な限りサポートをさせていただきます。
Aさんは考えます。自分がやるべきか、Bに任せるべきか。

ここまでの議論をへて、Aさんの頭の中には、誰がやるかのせめぎ合いになっています。
そもそもやらない。という選択肢は意識から離れているのです。
組織プラン検討の議論への参加に承諾した時点で、組織プラン改変には無意識に合意しており、取下げを表明できる選択肢は消えています。
策略的な考え方では、「自分以外であればやってもいいって考えていたのであれば、必要だということ事態には同意している」ということですよね。
となるのです。

人によりますが、おおよそ誰もが引き受けたくない役割を覆すためには、論点をずらして、話し合いを進めることが有効です。
先方の選択肢を、引き受ける。引き受けない。と言うものから、誰がやるか。どうやるか。に移行させるのです。
さらに言うと、会社が求めるのはあくまで組織再編であって、候補者Aさんを羽交い締めにしてでもポストに着かせることではないのです。
私たちの当初の目的は、組織再編ができればOKです。組織の本質的なアイデアが出た時点で、そのアイデアが組織再編の重要な意見として利用することも忘れません。

仕事において、自分が優先すべきはその場の勝ち負けではないです。
様々な議論をしたり、叱責を受けたりして、途中どんなに悔しい思いをしても、最終的に笑えば全てが成功のためのプロセスになります。
そして最も大事なポイントです。決して意見を押し付けてはいけません。相手の矜持を汲み取って自分は黒子に徹することを忘れない。
強引に相手を制しようとすればするほど反発は強くなり、意見をすることができなくなります。

相手を立て、自分の目標をかなえる。
長い年月一人ではできない仕事をする以上、相手に気持ちよく動いてもらうことが必要です。
そのためには、まず相手に対して、十分な配慮をする。矜持を汲み取る。ことを忘れないことが重要です。
相手も人間です。苛立ちもしますし不安にもなります。
コントロールを意識した人間は必ず相手が潰れない方法を選択し続けなくてはなりません。

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